【須賀川市】夜空に響く太鼓の鼓動!仲間とともに伝統の松明あかしを盛り上げる若者たち

ひとの物語
令和4年度松明あかしでの演奏の様子。出典:奥州須賀川松明太鼓保存会Instagram

※この記事は2025年11月5日に公開した記事を再掲載したものです。
※本記事で紹介するイベントは終了しています。最新の開催情報は公式情報をご確認ください。

どん、どん、とお腹の底から響く音。
燃える松明の壮大さを引き立ててくれる存在です。
この音は、奥州須賀川松明太鼓保存会が演奏する太鼓によるもの。

須賀川市が誇る伝統行事、松明あかしが11月8日(土)に開催されます。
かつてこの地では、須賀川城主の二階堂家が伊達政宗率いる伊達家と戦を繰り広げ、多くの兵士が命を落としました。松明あかしは戦死者への鎮魂の想いを込めたお祭りです。

燃え盛る炎とともに、松明あかしに欠かせないのが迫力ある太鼓の演奏です。奏者の多くを占めるのは10代や20代の若者たち。本番を間近に控え、練習に励むメンバーたちを訪ねました。

松明あかしを盛り上げるため発足

松明あかし自体は430年以上の歴史がある行事です。しかし意外なことに、保存会の発足は平成元年。平成になってから始まった、比較的新しい取り組みなのです。

当時は、松明あかしをもっと盛り上げる方策がないか試行錯誤していたのだとか。その結果行きついたのが、日本古来の和太鼓でした。
これを実現するため、須賀川市の有志メンバーが保存会を一から立ち上げたのです。平成1年11月11日11時11分11秒、「1」が並ぶ記念すべき日に最初の太鼓を叩き、その活動をスタートさせました。

小学4年生から70代まで、幅広いメンバーが在籍

練習場の須賀川市ふれあいセンターには数多くの太鼓が保管されている。大きいものは車が買えるほどの価格なのだそう

保存会には小学4年生から70代まで、幅広い年齢層のメンバーが約80名在籍しています。中でも小中学生の割合が多く、約50名が活躍しているのだそう。

活動は主に以下の4つのチームに分かれて行っています。

  • 奥州須賀川松明太鼓保存会:大人で構成されるチーム
  • 松明太鼓保存会 緋浰(ひれん):高校生~若手社会人のチーム
  • 松明太鼓保存会小若組 嵐:中高校生のチーム
  • 松明太鼓保存会小若組:小学4年生~6年生のチーム

もともとは松明あかしを盛り上げるために始まった保存会。しかし、現在はそれだけにとどまらず、コンクールへの出場やイベントでの出張演奏など、活躍の場をどんどん広げています。

必ず演奏される3曲

松明あかしでは、本曲と呼ばれる以下の3曲が必ず演奏されています。

  • 千祈万祷(せんきばんとう)
  • 炎舞楽(えんぶらく)
  • 神送栄(かんぞうえ)

それぞれ、祈りによって戦死者の御霊を呼び、炎と舞でもてなし、そして見送るという意味がこめられた曲です。
作曲を手がけたのは、長野県・諏訪大社と深い関わりを持つ「御諏訪太鼓(おすわだいこ)」。この地には、室町時代に須賀川城主・二階堂為氏が神炊館(おたきや)神社に信州諏訪神を合祀したという歴史的なゆかりがあります。

松明太鼓保存会は、この3曲を松明あかしで演奏することを目的として発足されました。実際の会場では、他の曲も含めて十数曲が披露されます。

若手メンバーが作る新しい曲

「commencement」を演奏する松明太鼓保存会小若組 嵐のメンバー

取材に合わせて、中高生のチームである松明太鼓保存会小若組 嵐のメンバーに一曲披露していただきました。
太鼓の音が部屋全体に心地よく響き渡り、惹きつけられる演奏です。
曲名は「commencement(コメンスメント)」。「始まり」という意味を持つ曲です。

作曲したのは、緋浰メンバーで大学生の木島天音さん。
「皆で一緒に演奏できる曲を」との思いで作ったこの曲は、難易度を抑えて誰でも取り組めるよう工夫されているのが特徴です。

commencementの楽譜。色ペンで演奏指示が書き込まれている

松明あかしで演奏する曲目の約半数は、このように保存会メンバーの手によるもの。現場では、音の強弱や音色の作り方も定めて指導しています。
見せてもらった楽譜には、細やかな演奏指示が書き込まれていました。

松明あかしへの意気込み

松明太鼓保存会 緋浰メンバーの4名。左から濱野萌香さん、山口くるみさん、武田颯悟さん、木島天音さん

高校生~若手社会人のチームである松明太鼓保存会 緋浰のメンバー4名に話を伺いました。4名とも小4から太鼓を始め、10年以上に渡り活動を続けています。自分たちで演奏するだけでなく、現在は小学生~高校生メンバーの指導も手がけています。

どうしてこれほど長く活動を続けられているのでしょうか。武田颯悟さんは「楽しいから」と笑顔で答えます。
太鼓はピアノのように音階がないため、誰でも音を鳴らせるシンプルな楽器です。しかし一方で、音の強弱や音質の違いが演奏全体の印象を大きく左右します。
「適当に打つのと、(バチを)固く握って丁寧に打つのとでは、音の広がり方が全然違います。やればやるだけ奥が深いんです」

松明あかしへの意気込みを濱野萌香さんに伺いました。
「チーム自体が松明あかしを盛り上げるためのものなので、やはりこの日が一番の本番だという気持ちが強いです。チームの中心として活動させてもらっている分、楽しい気持ちも強くて一生懸命やっています。松明あかしというお祭り自体ももっと盛り上げていきたいです」
そう語る表情は穏やかながら真剣そのものです。

夜空に響く太鼓の鼓動に耳を傾けて

当日は、翠ヶ丘公園内の五老山で実施される松明あかしに伴い、五老山特設ステージにて保存会による松明太鼓が披露されます。
燃えさかる松明の美しさに目を奪われるのはもちろん、その輝きを盛り上げる太鼓の演奏にも耳を傾けてみませんか。

出典:須賀川市 令和7年度松明あかしプログラム

奥州須賀川松明太鼓保存会 演奏披露 開催情報

日時2025年11月8日(土) 18:00~19:45(Ⅰ部・Ⅱ部構成)
場所翠ヶ丘公園内 五老山特設ステージ(須賀川市愛宕山5)
URL奥州須賀川松明太鼓保存会Instagram

令和7年度 松明あかし 開催情報

日時2025年11月8日(土)
主催松明あかし実行委員会
お問い合わせ松明あかし実行委員会事務局 0248-88-9144
URL令和7年度「松明あかし」
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