ここでしか出会えない一杯を求めて。酒蔵の庭にできた、新しい居場所

お店・場所

歴史と風格を感じる門をくぐると、澄んだ空と青々とした山並みが眼前に広がりました。古い趣ある建物を横目に進むと、正面にひときわ目を引く和モダンの黒い建物。
端正なガラスの引き戸を開けると、一人の男性が出迎えてくれました。

「喫茶スタンドhodos゛(ホドズ)」が営業する、豊国酒造敷地内kuranoba(クラノバ)。

ここは、日本酒「一歩己(いぶき)」などで知られる老舗の豊国酒造敷地内。2026年7月6日(月)~8月10日(月)の期間限定で、ポップアップショップ「喫茶スタンドhodos゛(ホドズ)」がオープンしています。オーナーの成井秋暁さんにお話を伺いました。

誕生のきっかけ

「喫茶スタンドhodos゛」オーナーの成井秋暁さん

成井さんは、地域おこし協力隊として今年の5月に古殿町へ着任したばかり。このお店は、成井さんの協力隊活動の一環として運営されています。

お店を始めるきっかけとなったのは、着任にあたっての挨拶回りでした。地元の方々を訪ねる中で、成井さんは豊国酒造を訪問します。こちらの社長は、町を盛り上げるためさまざまな取り組みを実施されている方。話が弾む中で、社長から「カフェはできる?」と打診されたのだそうです。

実は、バリスタの経験があった成井さん。その場で承諾し、短い準備期間を経て7月6日にオープンを迎えました。
「このお店を通じて、自分も古殿町を盛り上げる力になれたらと思ってます」
成井さんはそう言います。

現在は期間限定のポップアップショップとして営業していますが、継続を期待する声が多くあがっているのだそう。今後の展開が楽しみです。

ここでしか出会えない味

「ちょっとひと手間かけて、他じゃ飲めない、ここならではのものを作りたくて」
提供されるメニューには、成井さんのそんなこだわりが大きく反映されています。

アイスドリンクに浮かぶ氷は、なんと豊国酒造で使われているのと同じもの。
「豊国酒造さんがすごくこだわられている氷を、ご厚意で使わせていただいています。雑味がなくまろやかで、家庭の氷とは口当たりが全然違うんです」
溶けてもドリンクのおいしさを損なわず、このお店ならではの味わいを楽しめます。

看板メニューのコーヒーは、それだけで5種類というこだわりぶりです。
中でも、銅製の器具を使ってじっくりと淹れるハンドドリップは別格。
「銅だと熱の伝わり方が違うので、より口当たりがよくすっきりした飲み口になります。ちょっといいコーヒーを飲みたい時におすすめです」

さらに、「おいしくない」というイメージをくつがえすデカフェにも注目。成井さんの丁寧な仕事で、ノンカフェインでも豊かなコーヒーの風味が楽しめます。

メロンソーダにフォームミルクをトッピングした、オリジナルのクリームソーダ(税込600円)

コーヒー以外に、喫茶店の定番メニューであるさくらんぼ付きソーダや、濃厚なブラッドオレンジジュースという選択肢も。ソーダにふわふわのフォームミルクをトッピングしてオリジナルのクリームソーダにするという裏技も、このお店ならではの楽しみの一つです。

古殿町にサードプレイスを

アイスラテ(税込450円)

ドリンクの価格は350円~500円(税込)。気軽に立ち寄れるよう、手頃な価格に抑えています。
「こだわりすぎて価格が高くなると、地域の方にとってはハードルが上がってしまうので。まずは地域に馴染んで、自分たちとしても気持ちよくご提供できる価格にしています」

そんなお店が目指すのは、家とも職場とも異なるサードプレイスになること。サードプレイスを作ることは、成井さんが地域おこし協力隊を志した原点でもあります。

客席の様子

お店が入っている建物は、築100年以上の蔵を改修した趣のある空間。頭上を走る重厚な木の梁が、すっきりとした白い壁やグレーの床と不思議に調和しています。
ドリンクは基本的にテイクアウトですが、店内のテーブル席でこの居心地の良さをじっくりと味わうこともできます。

その居心地の良さに惹かれるように、すでに町内はもちろん、いわき市など遠方からもお客さんが訪れているのだそう。この場所が、地域の方々の新たな居場所になりつつあります。

「昔日屋hodos゛」とのつながり

画像引用:hodos゛HP

実は、成井さんにはもう一つ別の顔があります。古着やスニーカーなどを取り扱う古物店「昔日屋hodos゛」というお店を運営しているのです。石川町に店舗を構えるほか、オンラインショップも展開しています。

「古いものって、それだけ使われてきた歴史があります。また、今より全然品質が良いものが多いです。なので、今を生きる方々に使っていただけたらさらに色艶が出るんじゃないかなと。装いのポイントとして日常に寄り添って、暮らしがちょっと楽しくなるお手伝いができたら理想ですね」

喫茶スタンドでも、古物店と同じく「hodos゛」という名前を冠した理由についても伺いました。
「色々考えてつけた名前なので、変えようとは考えませんでした。『hodos゛といえばこの人』と思ってもらえるように、業種だけを分けてやりたかったんです」

将来的に、こちらの喫茶スタンドでも古着やスニーカーを販売したいとの構想もあるのだそう。喫茶スタンドと古物店、2つのhodos゛が交わる未来も遠くなさそうです。

外へ出るきっかけになってほしい

「このお店が、外に出るきっかけになれれば嬉しいです」
最後に読者へのメッセージをお願いすると、成井さんはそう話し始めました。
「ふらっと来て、読書したり、好きな映画を見ながらドリンクを味わったり。本当に、自分の新しい居場所みたいな感じに思って来ていただけたら」

もし今後も継続が決まれば、新しいメニューにも挑戦していきたいとのこと。
「そういったこれからの変化も、一緒に楽しみにしていただけたら嬉しいです」

家でも、職場でもない、素の自分に戻れる場所。コーヒーの香りと、成井さんの紡ぐひと手間の温もりは、今日も訪れる人を優しく出迎えています。喫茶スタンドhodos゛の物語は、まだ第一歩を踏み出したばかりです。

喫茶スタンドhodos゛ 詳細情報

営業期間2026年7月6日~8月10日
営業日期間中の月火木金(不定休あり、営業カレンダー参照)
所在地豊国酒造敷地内kuranoba
福島県石川郡古殿町竹貫114
営業時間10:00~16:00 ラストオーダー16:00
URLHP店舗Instagram成井さんInstagram
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