日曜日のお昼過ぎ。ロシナンテ鏡石店で夕食の買い物を済ませて外に出ると、離れの建物の自動ドアが少し開いているのが見えました。
2ヶ月前から工事が入り、様子が変わったこちらの建物。吸い寄せられるように中に入ると、中畠さんご夫婦が歓迎してくださいました。
今回は、2026年4月25日(土)にオープンする晴時coffeeの新店舗にお邪魔しています。出店を決めた背景やメニューについて伺いました。
こだわりのコーヒーを届けるための常設店舗

晴時coffeeは自家焙煎のスペシャルティコーヒー豆専門店。コーヒー豆へのこだわりは、以前詳しく教えていただきました。

これまでは道の駅やオンラインショップでコーヒー豆を販売するほか、各地で開催されるマルシェに出店していました。
常設店舗を構えるのはこれが初めて。なぜ新たな挑戦に踏み出したのでしょうか。
出店場所を探していた

晴時coffeeの店舗は、黄色い壁面が印象的なスーパー、ICHII’S ロシナンテ MARKET 鏡石店(以下、ロシナンテ鏡石店)の別棟にあります。
実は、以前から常設店舗を持ちたいと考え近隣の物件を調べていたのだそう。しかし賃料が見合わなかったり、申込を断られたりと、思い通りに行かない日々が続いていました。
そんな中、2025年にロシナンテ鏡石店がリニューアルオープン。人がより一層集まるようになりました。
これは、と思ってロシナンテ鏡石店に問い合わせると、出店OKとの返答が。焙煎所から近く通いやすいこともあり、この場所にお店を構えることを決めました。
好きなことをやらないと生きていけない
中畠さんには、店舗を持ちたいという想いがもともとありました。
とはいえ、店舗を持つためには多くのお金や時間が必要です。負担が大きいのでは、と尋ねると、意外な答えが返ってきました。
「心の洗濯だよね。あなた(中畠さん)がこれをやっているおかげで、消費者よりもまずあなたが助かっている」
妻の伸子さんはこう話します。
「好きなことをやらないと生きていけないって人が世の中にはいるんだよ」
「楽しいと思うことをやるのが一番」
中畠さんもそう言ってうなずきます。
会社であれば上司の指示に従わなければなりませんが、晴時coffeeの仕事は中畠さんがすべて自分の意思で決めて実行しています。だから大変でも楽しいのだと笑顔を浮かべます。
来店客と話さないと売れない

晴時coffeeのコーヒー豆は4箇所の道の駅で販売されています。その中で、一番売上が多いのが「道の駅ふるどの おふくろの駅」なのだとか。これには理由があります。
「いい商品ってだけでは売れなくて、その人と接さないと売れないんです」
4箇所のうちで唯一、店頭に立って商品の営業をしたことがあるのが道の駅ふるどのなのだそう。ただ商品を置いておくだけではなく、来店客と話をしないと売れないことを実感していたのです。
常設店舗であれば、常にお店に立って来店客と会話ができます。たわいもない世間話をしたり、コーヒーについての質問に答えたり。そうして顔を覚えてもらうことが、お店にとって大切なのです。
取扱商品
お店では、コーヒーをはじめとするドリンクやスイーツなどを取り揃えています。その一部を紹介します。
ドリップコーヒー

お店の看板商品であるドリップコーヒー。コーヒー豆は数種類あり、好みを伝えると合うものを選んでもらえます。
イートインのほか、テイクアウトも可能。今回はテイクアウト用のカップでいただきました。
一口飲んでみると、えぐみがなく、深いコクはあるのに後味は驚くほどすっきり。高品質な豆を厳選するスペシャルティコーヒーならではの味わいです。
焙煎は、豆本来の風味を生かす中煎りがメイン。ガツンと来る苦味が特徴の深煎りとは異なり、コーヒー豆が持つ豊かな香りやほのかな甘味をじっくりと楽しめます。
カフェラテ

カフェラテは土日祝日の販売。店主の中畠さんが淹れてくれます。
優しいミルクの甘味が引き立つまろやかな一杯です。
ジェラート

ジェラート専門店が作る10種類のフレーバーを取り揃えています。
今回はおすすめのアールグレイをいただきました。口に含むと豊かな紅茶の香りが広がります。
これから暖かくなってくるので、ひんやりとしたジェラートが気軽に食べられるのは嬉しいですね。
ドリップパックが新発売

さらに、新しくドリップパックも発売されます。
コーヒー抽出道具を持っていない人でも、カップとお湯さえあればおいしいコーヒーを淹れられるのはありがたいですね。まずは一杯だけ試してみたい人にもぴったりです。
楽しみはこれからも広がっていく
今後、常設店舗ならではの新しい試みも始まります。
一つは量り売り。コーヒー豆は、これまでは80g入りのパッケージで販売していました。「必要な分だけ買いたい」という声に応え、今後は欲しい量だけ購入できるようにしていくそうです。
「毎日2人で1杯ずつ、一週間分の豆が欲しい」など、一人ひとりの生活スタイルに合わせて利用できるのは、直接話ができる常設店舗ならではのメリットです。
また、コーヒー以外のメニューも充実させたいと考えているとのこと。コーヒーが苦手な人や小さな子どもも一緒に楽しめるよう、緑茶やハーブティー、レモンスカッシュを検討しています。さらに、クレープやホットサンドといったフードメニューの展開も考えているそう。
初めての出店なので、お客さんの反応を見ながら今後のメニュー展開を考えるそうです。時にはラテアート教室を開催するのもいいかも、とアイディアは尽きません。
買い物帰りのひとときを彩る一杯を

お店に入ってまず目が行くのが、正面の壁を彩る壁紙です。
落ち着いた色合いながら店内の印象をぱっと明るくしてくれるこの壁紙は、伸子さんがアメリカ西海岸をイメージして選んだもの。平日は伸子さんが毎日お店に立つため、モチベーションをあげられる内装を選んだのだそうです。
「この壁紙と一緒に私は頑張るから」
伸子さんはそう意気込みます。
夫婦の夢がいよいよ形になる晴時coffeeの新店舗。
買い物帰りに良質なコーヒーを味わう楽しみが毎日を彩ってくれそうです。


